Song For Bilbao|コード進行とアドリブ解説(ジャズスタンダード考察)

「Song For Bilbao」をUpしました。超メジャーなスタンダード、というわけでもないですが、黒本2にも載っているし、3〜4回セッションがあると、1回くらいはやるかなぁ、という印象です。

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曲の背景

パット・メセニーの初期の代表作で、初出は「Travels」(1983)というライブアルバム。他に、マイケル・ブレッカーが、
・Tales from the Hudson(1996)
というアルバムで(メセニー本人も参加作)取り上げているのも有名です。「Speaking of Now」ツアーでのボナの超絶スキャット入りのverもおすすめです。ちなみに、「Bilbao」とはスペインのバスク州にある都市の名前とのこと。

曲のアナライズ

曲の構成は【A-A-B-A】と一般的ですが、【B】が3/4拍子であるのが特徴です。
まず【A】のチェンジ

C7sus4
←   C Mixo Lydian or C Blues   →
GbMaj7(♯11)C7sus4
←  Gb Lydian  →←  C Mixo Lydian or C Blues  →

という、シンプルな2コード。基本スケールは上記の通りで問題ないでしょう。2コードとはいえ、C Mixは「b」が1つ、GbLydは「b」が5つですので、遠いKeyへの転調。

「遠い転調(共通音が3音)」なので、歌わせ方が難しいです。Methenyのプレイを改めて聞いてみると、GbMaj7時にF Minor Pentaでフレージングしている部分が散見。Lydian時に「半音下のMinor Penta」は、程よく特性音を抜き出してくれるので、シンプルで力強いフレージングになります。覚えておくと様々な場所で応用が効きます。
また、メセニーもブレッカーも、Gb△7時にCマイナーペンタ(但し、P5はコードとぶつかるので→dim5に。つまりよくあるブルース一発的アプローチ)で、大らかにフレージングしていて(乗り切っていて)、流石だなと思いました。
ブレッカーはEbのメロディックマイナー(Ebm△7←代理→Gb△7(♯5))的なフレージングをしていて、これもジャズらしくいい感じです。

|F  Bb |Eb F |Db Eb | F G |

中間部この部分【B】は、C7からの流れでトーナリティはFと聞くのが自然でしょう。とすればEb、Dbは同主調変換(或いはSDM)、GはII7、という感じでしょうか。、、とこの記事を書きながら、別のライブverを聞いていたら、メセニー、Bbメジャースケールで華麗に駆け上がっていくフレージングをしているテイクがありました(笑)。ので、メセニーはFがV、BbがI、EbがIV、と捉えているのかも知れません(笑)。まぁいずれにせよ、この部分は「キメ」的な部分でもあるので、細かいフレージングよりもむしろ、バックと合わせ、リズミックに演奏する方がより音楽的かと思います。メセニーもブレッカーも、わりとそういう感じのシンプルなアプローチです。(とはいえ、そればかりでも飽きるので、バリエーションとしては上記のようにフレージングしても良いと思います)。

イントロとエンディング

に関しては、メセニーverも、ブレッカーverも、普通に始まり、A-A-B-Aの最後のGbでRitして終わっているだけなので、特にありません。セッションでなく自分のライブであれば、何かリフっぽいイントロを作ってみても良いかもしれませんね。

構成が簡単なので、セッションしやすい曲だと思います。
ぜひみなさん、トライしてみてください^^

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