これもレッスンで要望の多かったので、動画にしてみました。
ペンタトニックスケールは、初心者の方がアドリブを覚える際に、うちの教室だけでなく、おそらくどのギター教室でも最初に学ぶスケールで、というのはたった5音で簡単にフレージングすることができて、とても扱いやすいからです。ただ、単純なフレーズしか作ることができず(実はそうでもないのですが)、後にメジャースケール、メロディックマイナー、各種モードなどを勉強していく過程で、上級者になればなるほど忘れられていく側面もあります。
そんな訳で、ペンタトニック=初心者用のスケール、と勘違いされている方もいるかもしれませんが、実はそうではありません。チックコリアやジョン・スコフィールド、カート・ローゼンウインケルその他、難解なフレージングをしていると思われるアーティスト達は、実は驚くほどペンタトニックを活用しています。ただ、使われ方が違うのです。例えば、初心者が最初に覚えるような、Amのコードで(或いはAのブルースで)Aマイナーペンタ、といった使われ方ではなく、
・Amのコード上で、Bマイナーペンタ
・AMaj7のコード上で、G#マイナーペンタ
といった、少し高度な使われ方です。例えば前者だと、Aドリアンを弾いている雰囲気になります(正確には、A DorianのR、2nd、4th、5th、6th、の5音を抜き出して弾いていることになります)し、後者だとAリディアンを弾いている感じになります(正確にはA LydianのM2、M3、aug4、M6、M7、を抜き出して弾いていることになります)。そして、こうして既存スケールをペンタで置き換えることによって2つの効能が得られます。その一つは演奏が簡単になるという利便性の側面。そしてもう一つは、気が付かれた方も多いと思いますが、置き換えた元のスケールの特性音をより強調する効果があるという面です。このペンタの「置き換え」についてはまた別の機会に解説したいと思いますが、ともかく、こういったペンタの使われ方もあるということと、そういった使われ方をする際に(例えば、AマイナーペンタとBマイナーペンタを切り替えながら弾く)、ペンタトニックのポジションを隅々まで把握できているかどうかが、とても重要になります。
そういった訳で、ペンタトニックはギターを始めたばかりの初心者の人から上級者の人まで、その重要度は変わらないスケールだということです。まずは一番基本のC-A-G-E-D、の5ポジションから覚えていきましょう。