ギタリストの世代と時代(1)

ギタリスト年表

先日、生徒のKさんのレッスンでジョーパスの話になって、「ジョーパスはわりと原点回帰というか」とKさん。で、
「いや、まぁあの時代だから、普通に時代の最先端なことやってたと思うんだけど、、」と僕。すると、
「でもあの世代にしては、すごくオーソドックスなプレイですよね」
「あ、ひょっとして、ジョーパスってグラントグリーンとかケニーバレルより年上って、知ってる?」
「ええっ」と驚くKさん。

そうなんですよね。ジョー・パスはデビューが遅く(62年)、また本格的に人気が出たのは70年代なので、往年のジャズギタリスト達よりも少し後の時代、ってイメージを持っている人が多い。けれども実は、ケニー・バレルよりも、ジム・ホールよりも、グラント・グリーンよりも年上なんですよね。(彼がなぜデビューが遅かったかは、有名な”アレ”なので、省略(笑))
一方、例えばケニー・バレルなどはコルトレーンの共演盤とか、チェンバースの共演盤とか、いわゆるジャズ黄金期の50年代のアルバムに多数参加しているので、パスよりだいぶ先輩な気がしますが、実はバレルの方が2歳後輩。

もちろん我々は音楽評論家を目指している訳ではなく、演奏者を目指している訳なので、まぁ、そういったことは別に知らなくても構いません。構わないのだけど、でもまた、多少なりとも知っておくと「見えてくること」もあるので、ちょっと簡単なギタリスト年表を作ってみました。ちょっと雑な作りですが(笑)、勘弁してください。

マディ・ウォーターズとロバジョンは、意外にも同年代

そう、これもまた別の誰かのレッスンの時に、ちょっと話題になりました。この二人、実はたった2の歳違いなんですよね。マディは80年代まで元気に活動していたし、ロバジョンは30年代に亡くなっているので、白黒の写真しかないし、だいぶ世代が離れているように感じるけれど、実はほとんど同年代。だからマディがデルタブルースの正統な後継者と言われるのは当然で、後継者どころか正にロバート・ジョンソンやサン・ハウスが活動していたのと同じ時代、同じ場所でやっていた訳です。実際、マディとロバジョンは当時のクラークスデール(ミシシッピ州)周辺で出会っています。(共演ではなく、マディが一方的に観客として、ロバートの演奏を見たらしい)。でもそう考えると、逆にロバート・ジョンソンがもしマディと同じくらいまで生きていたら、80年代まで演奏していた可能性もあった訳ですよね。80年代といえば、MTVが生まれた時代。「ロバート・ジョンソンのプロモビデオ」なんてものも作られたかもしれません。なんて思うと、確かに不思議ですよね。笑
また、こうしてみるとB.B.Kingがエレキギターの出現を10代で体感しているのと違い、マディは既に20代後半だったということからも、ブルースギターのシングルトーンでの概念が、マディ世代とBB世代では大きな隔たりがあるのだなということもとてもよく納得できます(ES150の発売は、1936年)。特に、各ギタリストが10代後半をどの時代で過ごしているのかということは、そのプレイスタイルに大きく関わっているし、こうして並べてみると、すごく興味深いですよね。

まだまだ書きたいことがあるので、続編も書きます。

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