ギタリストの世代と時代(2)

ギタリスト年表

ギタリストの世代、特に、10代をどの時代に過ごしたか、ということは、とても興味深い、という話の続き。

例えばジミ・ヘンドリックスに影響されなかったギタリストはいないでしょう。それはそうなのですが、ただ、ジミの出現をいくつの頃に聞いたのかが結構重要で、それがそのギタリストのスタイルに大きく関わっています。
例えば、ジョン・スコフィールドはジミヘンのデビュー(1967年)時に、16歳。まさに思春期の真っ只中。ビル・フリゼールも同い年なのでやはり16歳。この二人が、クリーントーンだけに拘らず、ディストーションやエフェクトを違和感なく使っていけたのは、まさにギターを始めた時期と、ジミの出現が重なっているからだと思います。その上の世代、例えば44年生まれのパット・マルティーノはその時に23歳。ジョージ・ベンソンは22歳。彼らも、ジョンスコやビルフリと、大して年は変わらない。ですが、あるものごとを16歳で体験するのと、22歳で体験するのでは、全く話が違うのです。特に、楽器に関しては。というのは、(個人差はあれど)ちょうどこの10代後半の時期に、ギタリストは基本的な弾き方、ピックの握りから手首の使い方まで、の基本が形成されるからです。そして22歳というと、もうプレイヤーとしての骨格が出来上がってしまった後だからです。マルティーノにしてもベンソンにしても、その年齢には既にクリーントーンでのジャズギターのスタイルを確立してしまっています。マルティーノも歪んだ音で弾く時もありますが、基本的には、彼らにとってギターの音は、基本「クリーントーン」ということなのでしょう。

ロックンロール(以下R&R)の成立時に、いくつだったか、ということも興味深い。R&Rはその成立時の僅か数年、55〜57年辺りに、Swingから完全に決別し、いわゆる8ビートが生まれます。この、僅か数年の変化の過程も色々見ていくととても面白いのですが(例えばこの数年の間に、ウッドベースからエレキベースへ、ドラムのスイングのシンバルレガートから均一な8分音符へ、と、物凄いスピードで変化していきますが、それはまた別の機会に)、ともあれ、R&Rの成立の最大の音楽的な特徴は(音楽以外では、ファッションやステージングなど、色々あるでしょうが)「イーブン8ビート」の出現だったと思います。

仮に、チャックベリーのRoll Over Beethovenのヒット(1956年)をその分水嶺として見てみると、ケニー・バレルら、いわゆるジャズギターの第一次黄金期世代は、既に20代半ば。一方、44年生まれのパット・マルティーノは12歳。ジョージベンソンは11歳。ジョンマクラフリンは14歳。この「スクエア」なビートを10代の頃に体感したか、どうか、ということはやはり、イーブンビート上でのフレージングのリズムの捉え方などに顕著に現れていて、ものすごく興味深いですよね。

などなど。まだまだありますが、長くなったので、あとはレッスンの時にでも^^ 皆さんも、ジャズギターを志すにせよ、同時に「10代、思春期の多感な頃」に何を聞いたか、ということは、その後のサウンドやビートの捉え方と大きく関わってきますし、ある意味そこから逃れることはできないのかもしれません。笑。またそのことを意識することで、自分では気づかずにいた自分のオリジナリティを掘り起こすきっかけになるかもしれません(^^)

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