2月11日、奈良県吉野町で開催された文化イベント「未来忌(みらいき)」に参加してきました。この日は、昭和初期に活躍した吉野町出身の詩人・池田克己(いけだ かつみ)さんの命日。池田氏は、詩人・草野心平さんとも交流があり、『日本未来派』を立ち上げた人物としても知られています。そんな彼の命日を記念した「未来忌」は、朗読やジャズ、演歌、尺八、即興演奏、朗読音楽劇など、さまざまな表現で池田克己の詩と世界観に迫る、といったイベントでした。
今回、私たちがこのイベントに関わることになったきっかけは、ピアノの柴田コウメイさんの吉野町への引っ越し。なんと、新居の向かいが池田克己氏のご実家だったそうです。そんな偶然からご縁がつながり、今回の参加へと至りました。会場は、吉野町立中央公民館の大ホール。山と川に囲まれた吉野の自然の中で、芸術に浸る贅沢なひととき。最近は何かと吉野とのご縁が増えており、行くたびに心が洗われるような気持ちになります。大阪から遠いのだけが、難点!(アンプやらギターやら、運ぶのが大変^^;)だけど、でも本当に静かで美しい町で、大好きです。
久しぶりの、「詞先」での作曲
イベントの第一部では、ヴォーカルの新田先生と私でDuoとして出演。池田克己氏の「村落より」という詩に私がオリジナルで曲をつけ、演奏しました。実はこれ、去年の暮れあたりから作っていたのですが、なかなか難産で。というのは、僕は「詞先(詩が先にあり、後から曲をつける)」をあまりやったことがなかった(多分20代の頃、アイドルのアレンジ仕事とかしてた以来)というのもあるし、それに当然ながら、曲がつくことを想定されて書かれていない詩なので。つまり、上手くメロディができたと思っても、詞の長さが足らなかったり、またその逆だったりで。でも苦労した甲斐があり、何とかいい曲が作れたような気が。良い作曲の修練になりました(笑)
続く第二部(16時〜)では、ピアノの柴田コウメイさん、ダラブッカ奏者の近藤大貴さんとも共演。近藤さんとは初共演でしたが、即興性の高いセッションは非常に刺激的でした。さすが中近東打楽器のエキスパート。リハーサルなしのぶっつけ本番、初対面にもかかわらず「この曲、変拍子でやってみましょうか?」「いいですね!」と、オルフェを7拍子で演奏。まったく問題なし。近藤さん、素晴らしかった。
芸術と土地と人が繋がる、素晴らしいイベントでした。音楽を通じて新しい出会いや縁が広がっていく素晴らしさを、改めて感じさせてくれる時間でした。前も何かで書きましたがほんと、大阪など大都市では、こういった人と人との地元密着的な出会いを作っていくのは、本当に難しい。もちろん田舎は田舎での大変さもあるでしょうが、ことこういったイベントに関しては、地方の方が地元としっかり密着しやすいんですよね。
お声がけいただき、本当にありがとうございました。心に残る素晴らしいイベントでした!