Modal Interchangeとは

モーダルインターチェンジ1

<初級者の方向けです>

モーダルインターチェンジって?という質問がありましたので、説明してみようと思います。

簡単にいうと、<モーダル>が<インターチェンジ>する、ということですね。つまり、<モーダル>(=旋法、音階)が<インターチェンジ>(=入れ替わる)。

ですが、次に疑問になる点は「転調」と、どう違うのか?ということです。この生徒さんの疑問もそこにありました。

・転調 →調が別の調へと移行すること
・モーダルインターチェンジ →旋法(音階)が別の旋法へと移行すること

こういった定義になると思います。ですが、更に今度は「調とは?」という話になります。「調」とは、「ある中心音(Tonal Center)を軸とした、音組織」のことです。ということで、一番分かり易い例をあげてみます。

モーダルインターチェンジ1

(※上の段の右、C#は、本当はDbと書いた方が良いのですが、初心者の方にも分かりやすくする為にC#と書いてます)

つまり上の段は、中心音(Tonal Centar)が変わっているので、別の調になった、つまり「転調」と考えられます。
下の段は、旋法(音階)は変わったけれど、中心音(Tonal Centar)は変わっていないので、「モーダルインターチェンジ」と考えられます。これが、一番シンプルな説明です。
例えば、ギターのソロをA7上で弾く際に、よく私たちはAマイナーペンタからAメジャーペンタ、時にはAミクソリディアンスケールへ、と次々に変化させていくことがありますが、これもある種の「モーダルインターチェンジ」を行なっている、と言えます。

実際の曲で使われている分かり易い例として、坂本龍一さんの「The Sheltering Sky」のメロディを見てみましょう。そのまま載せると著作権の問題がありますので、ほんの少しだけ変えてあります(気にしなくていい程度です)。とても簡単なメロディなので、ぜひギターで弾いてみてください。

モーダルインターチェンジ3

つまり、前半も後半も、キーはAm(原曲はGmです)で変わりませんが、旋法(スケール)が前半はエオリアン、後半はドリアン、と変化しています。つまり、「転調はしていない(中心音は変わっていない)が、スケールが変わっている」この状態のものを、モーダルインターチェンジ、と呼びます。

ただ毎度の話ですが、音楽理論は理論、といっても矛盾点だらけです。例えばよく見かけるG7ーC、というドミナントモーションで、G7のところで和音も、メロディも、どちらもコンディミ(H/W Diminished)でできている曲があるとします。Gのコンディミには<C>音は含まれないですから、これは中心音(Tonal Centar)が変わったので「転調」と言えるでしょうか? というと、これはおかしいですよね。明らかにCへのドミナントの機能は損なわれていない訳ですから。それを聞く私たちは、「調感上は」転調ではなく、モーダルインターチェンジとして聞いているといえます。

また、例えば、II7でM3度(Keyから見てAug4th)が頻出する曲で何度目かのある時、コードが変わらなかったとします。その時に、我々はそれをモーダルインターチェンジとして聞くでしょうか?(聞くとすれば、それはC Lydianに聞こえる訳ですが、、)それとも、<D音>をTonal centerとした(つまり一時転調した)Mixo-Lydianと聞くでしょうか? あるいは、新調Gへ向かう、ドミナントとして聞くでしょうか? これはおそらく、人によって違うと考えられます。ある人にはモーダルインターチェンジ(Lydian)として聞こえ、またある人にはIIのミクソリディアン、またあるいはVのイオニアンに聞こえる、といったことが十分あり得ます。

なぜ、こんなことが起こるかというと、そもそも中心音(Tonal Centar)がどの音に聞こえるのか?ということは、聞く人間の主観による部分が大きいからです。ある人には”そう”聞こえ、また別の人には違う音が中心音と聞こえる、なんてことは、ぜんぜんあり得る訳です。最初に<初心者の方へ>と断ったにも関わらず、後半少し難しい話になりましたが、忘れてもらって構いません。ただ、「音楽理論は矛盾だらけで、ちっとも整合性がないものだ」ということを、少しでも分かってもらえれば、嬉しいです。

この記事を読んで、さらに疑問点が生まれた人もいるかと思いますが、またレッスン時にでも聞いてください(^^)
ではまた次回!

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