パット・メセニーでAI時代を考える

ラジオのスタジオでメセニーのオーケストリオンを手にする私

昨日は私が担当している、ならどっとFM「Shape Of Jazz」の放送日。今回欠けたのは、Pat Methenyによる2010年の革新的なソロ・プロジェクト『Orchestrion』です。“オーケストリオン”とは、ピアノ、ドラム、パーカッション、マリンバ、ヴィブラフォンなど、多数の楽器をMIDI制御によって実際に演奏させる巨大なシステムのことです。そこにメセニー自身のギター演奏が加わり、非常に緻密で、時にプログレッシブ・ロックを思わせるような独特のサウンドが展開されます。

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打ち込みでもあり、生演奏でもある音楽

興味深いのは、これが「完全な生演奏」でありながら、同時に「打ち込み音楽」のようにも聴こえるという点です。普通、僕たちは「生演奏」と「プログラミングされた音楽」をまったく別のものとして考えがちですが、この作品では、その境界線が曖昧になります。機械が演奏しているのにも関わらず、人間の身体性も存在している。これは非常に不思議で、そして色々と考えさせられます。

最近では、Sunoをはじめ、音楽AIが「人間の音楽を置き換えるのではないか」といった議論も増えています。しかし、この『Orchestrion』という作品は、その問題について、一つの興味深い視点を提示しているようにも思えます。

また、Pat Methenyというギタリストの面白さは、そうした「新しいものへの感覚」と、「伝統への深い理解」が同時に存在しているところ。一方では、古典的なフルアコによるジャズギターという、古典的な美学を大切にしながら、他方では誰よりも早い時期からギターシンセにも積極的に挑戦してきたりと、本当に懐の深いギタリストだ思う。単なるジャズ・ギタリストという枠には収まらない、本当に優れたイノベーターだと思います。

昔から議論されていることですが、このテクノロジーと音楽という問題は、昨今のAiの脅威的な進化もあって、まだまだこれからも熱く議論される問題だと思います。

また、このテーマについては、noteの方でも「音楽はChatGPTに奪われるか」という記事を書いています。興味のある方は、ぜひそちらも読んでみてください。

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