ピーター・バーンスタインのトランスクライブ

久しぶりにYoutubeに採譜ものをUpしました。ピーター・バーンスタインの「All OF Me」ソロです。
今までも何人かの生徒さん用にレッスンで教材として使っていたのですが、このソロはあまり早い音符も出てこないし、とにかくキーが=Cなので、とても参考にしやすいと思います。中級者の方であれば充分完コピできると思います。短い(1コーラス)ソロですが、オーソドックスな中にもモダンなアプローチが隠れていて、彼の個性がよく出た素晴らしいアドリブだと思います。

まず、6小節目(A7)のところ。このラインはいわゆるsus4(b9)のラインになっています。これはモード期以降の常套句でよく聞くもので、初期の使用例としてよくMiles DavisのSomeday My Prince〜でのウイントン・ケリーのイントロなどが挙げられたりします。つまり、長く引き伸ばされたドミナントを表現したい、ということから長3度を省く、また、ただのsus4ではあまりにサウンドが単調なので、b9が加えられた、みたいな成立過程かもしれません。それを単音ラインで表現しても同じで、つまり「長3度」が入っていないことが、おしゃれな訳ですね。

13〜14小節目にかけては、これはもうお馴染みなII7時のLydian Dominant。その後の15小節目も、これもお馴染みのシーケンスフレーズ。メジャースケール内のトライアドの頭に経過音を加えただけですが、使い勝手の良いフレーズです。

16小節最後、これもモード期以降の必須のアッパーストラクチャートライアド。Eトライアドの分散を弾いています。オルタードと違う点は、ナチュラル6th(13th)が入ることです。b9というオルタードと13thが同居することによってモダンな響きになります。コードで表現するとE/G(G7(b9,13))というコードになります。ここから導き出されるスケールはコンディミ(H/W Diminished)で、なので俗に「コンディミコード」と呼ぶ人もいます。

などなど。後半のよく唄っているブルージーなフレーズもいいし、それほど速いパッセージも出てこないので、ジャズギター中級者程度の方ならコピーできると思います。よかったら練習してみて下さい!(^^)

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